転職ではなく起業を選んだ理由 堀口英剛 【わたしの恩モノ】

こんにちは。dripインターン生のはるっちです。
「人生を変えたモノ」をテーマにお届けする連載【わたしの恩モノ】。
今回は、株式会社ドリップ 代表取締役社長の堀口英剛さんにお話を伺いました。
「転職ではなく起業を選んだ理由」、そしてdripのモノづくりに込められた想いについて語っていただきます。

インタビューに答える堀口氏
堀口英剛
株式会社ドリップ代表取締役社長。
早稲田大学商学部卒業後、Yahoo! 株式会社(現 LINEヤフー株式会社)入社。
20万人のテック好きが集まるモノメディア「monograph」の管理人。
最近の趣味は植物と3Dプリンター。
目次
人生を変えたもの
これまでのキャリア
モノ選びの基準
今後のキャリアと展望
【まとめ】「自分だけのモノ」が、人生を変える。
人生を変えたもの
はるっち:堀口さんはこれまで「人生を変えたもの」というテーマでいくつかのアイテムを動画やブログで紹介されていますが、「実は紹介していないけれど、人生を変えたもの」ってありますか?
堀口:ありますね。普段から使っていたけれど、ブログや動画では紹介していないものがあります。それは、会社員時代に使っていた「HERZ(ヘルツ)」という革ブランドの手提げカバンです。

HERZ(ヘルツ)の手提げカバン
はるっち:人生を変えたカバン、ですか。どんなきっかけで出会ったんですか?
堀口:新卒の頃、「ちゃんとしたカバンが欲しいな」と思って探していたんです。
でも普通のビジネスバッグはみんな同じで、つまらない。せっかく働くなら、持っていてワクワクするものがいいなと思って。そこで出会ったのがヘルツのカバンでした。
無垢の革でコーティングもなく、汚れやすいけれど、使い込むほどに味が出る。
「これは自分だけのカバンになるな」と思って購入しました。
はるっち:そのカバンは、普通に購入されたんですか?
堀口:いや、少し違っていて。お店で見たとき、「これをリュックとして背負いたい」と思ったんです。
そこで、「ベルトを付けてリュックにできませんか?」とお願いしてみたんですが、「難しいです」と言われました。
それでも頼み込んで、特別に作ってもらったんです。

ベルトを付けてリュックとして背負えるように。
はるっち:それはかなり思い切ったオーダーですね(笑)。
堀口:そうそう。でもそのおかげで、“世界に一つだけ”のカバンになりました。会社員時代、そのカバンを背負って取引先を回っていたら、「スーツで革のランドセルみたいなカバンを背負ってる子、誰?」と話題になり、自分のことを覚えてもらえるようになりました。「コナンくん」って呼ばれていたみたいです(笑)。
はるっち:それはインパクトありますね。
堀口:そうなんです。トレードマークのようになって、顔を覚えてもらえるようになった。
結果的に仕事もうまくいくようになりました。まさに「人生を変えたカバン」ですね。
はるっち:会社員時代ずっと使っていたんですか?
堀口:はい、2年ほどですね。今はスーツを着なくなったので出番はありませんが、ずっと大切に保管しています。
「人生を変えてくれたもの」として特別な存在です。
はるっち:それが今のdripのモノづくりにもつながっているんですね。
堀口:そうですね。革の大きなカバンは格好いいけど、重くて毎日使うには不便です。でも、「自分だけのものが武器になる」という感覚を得られたのは大きかった。
その体験が、dripの「FLOORPACK」などの製品づくりにつながっています。軽くて丈夫、でもちゃんと“自分らしさ”を感じられるモノづくりの原点です。
これまでのキャリア
はるっち:大学時代はどんなことを学んでいたんですか?
堀口:早稲田大学商学部で、経営に近いことを学んでいました。
でも正直、実践的な知識はあまり残っていません(笑)。
それよりも大きかったのはビジネスコンテストです。
早稲田の大会で優勝したり、大手広告会社主催の大会でも優勝したり。
その経験を通して、広告やWeb業界に興味を持ちました。
はるっち:ご実家が自営業と聞きました。
堀口:はい、水道屋です。だからサラリーマン生活に強い憧れはなく、「自分でやりたい」という気持ちは最初からありました。
はるっち:大学を卒業してから、すぐに起業されたんですか?
堀口:いえ、最初は会社に就職しました。
当時はブログを運営していて、ある程度の収益もありました。
でももっと広い世界を知りたかったんです。
「日本で一番大きなメディアを見れば、Webメディアの全体像がわかる」と思って、ヤフー株式会社(現 LINEヤフー株式会社)に入社しました。
はるっち:配属は希望通りでしたか?
堀口:いえ、営業でした(笑)。
でも今思えば、それが正解でした。広告営業を通じて「メディアがどうやってお金を稼ぐのか」を実感できましたし、社外とのつながりも増えました。
はるっち:会社員時代もブログは続けていたんですか?
堀口:はい。会社にきちんと申請をして、許可をもらったうえで細々と続けていました。
ただ、「本業をおろそかにするのは絶対NG」と決めていたので、両立にはかなり気を遣っていましたね。
はるっち:その経験がdripにつながったんですね。
堀口:そうです。会社員時代に学んだ「メディアのお金の流れ」や営業経験が、今のdripの活動に直結しています。
もしヘルツのカバンに出会っていなかったら、もしマザーハウスに出会っていなかったら、、、今の製品はきっと生まれていなかったと思います。
モノ選びの基準
はるっち:堀口さんのモノ選びの基準は何ですか?
堀口:「愛着」と「使いやすさ」です。
革は使い込むほどに味が出て、自分だけのものになる。
だからdripの商品にも革を取り入れて、長く愛着を持ってもらいたいんです。
はるっち:確かに、その考え方は「FLOORPACK」にも表れていますね。

2階建てだから取り出しやすい、しまいやすい「FLOORPACK ver.2」
堀口:そうですね。「FLOORPACK」 は、2階構造の収納で機能性を高めつつ、底面をはじめとした各部に革を使って個性を出しています。

仕事道具 / ジム用品など用途で収納を分けたい場合は仕切りを使って2部屋に。

大きな荷物を持ち運ぶ時は仕切りを外して広々と1部屋としても使える。

底面をはじめとした各部に、肉厚な牛革にオイルとワックスをたっぷりと浸透させ、新品状態から特有の光沢感を持つ皮革素材「熟成レザー」を使用。
「愛着」と「使いやすさ」の2つを両立できたのが、「FLOORPACK」の魅力だと思います。
「FLOORPACK」については下記の動画もぜひご視聴ください。
今後のキャリアと展望
はるっち:今後のキャリアについては、どう考えていますか?
堀口:dripはまだ途中のブランドです。
「dripといえばこれ」「dripだから買いたい」と言ってもらえる存在に育てていきたいと思っています。
ライフスタイル全体に広がるような展開も考えています。
はるっち:今後つくりたいものはありますか?
堀口:カバンの中身はだいぶ揃ってきたので、次は“部屋の中身”をdripで満たしたいですね。デスクや椅子など、生活空間を彩るプロダクトも作りたいです。最終的には「dripホテル」みたいな、空間全体をdripでデザインすることが目標です。
はるっち:それは素敵ですね。
堀口:那須に拠点を作って、dripデザインの家を建てて、、、そんな未来を思い描いています。
はるっち:個人として挑戦してみたいことはありますか?たとえば新しいガジェットを作るとか。
堀口:実は「conductor」というデバイスを開発しているんですが、そこに「Shift Control」というコンセプトを込めています。

トラックボール付きの左右分割型キーボード「conductor」
はるっち:Shift Control?
堀口:シフトキーとコントロールキーから着想を得ていて、「コントロールの仕方をシフトする」という意味です。
今は画面を見て操作するのが当たり前ですが、将来的にはサングラス型やコンタクト型デバイスなど、もっと自然な操作が主流になると思うんです。
その未来と今をつなぐ存在が「conductor」。
未来のデバイスへの過渡期にある存在として、人とテクノロジーの関係を少しずつ変えていきたいと思っています。
はるっち:「Shift Control」って、“操作の発想を変える”という意味なんですね。すごく面白いです。
堀口:今は画面を見るのが当たり前ですが、未来はもっと自然な操作になると思います。「conductor」は、その未来へ橋をかける存在なんです。
はるっち:「指揮者」という名前もぴったりですね。
テクノロジーと人が調和して動く未来、楽しみです。
堀口:ありがとうございます。操作がもっと人に寄り添うことで、創造の自由が広がると信じています。
【まとめ】「自分だけのモノ」が、人生を変える。
今回の【わたしの恩モノ】では、株式会社ドリップ代表の堀口英剛さんにお話を伺いました。
印象に残ったのは、堀口さんが語る「モノ」と「生き方」のつながりです。
堀口さんが会社員時代に出会った HERZの手提げカバン は、まさに“人生を変えたモノ”。「自分だけのものを持つことが、自分らしさをつくる」と教えてくれたそうです。
その経験が、今のdripのモノづくり──たとえば FLOORPACK の「愛着×使いやすさ」という考え方につながっています。
そしてもう一つ印象的だったのが、新しい挑戦「conductor」。
「Shift Control=操作の発想を変える」という言葉には、未来のデバイスに向けたワクワクが詰まっていました。
“テクノロジーが人に合わせてくれる”世界を目指す堀口さんの姿勢に、私自身も胸が高鳴りました。
HERZのカバンから始まった「自分らしさ」の探求が、今も形を変えて続いている。
堀口さんのモノづくりには、そんな“変わらない芯”を感じました。