FLOORPACK Vol.5 『少しでも多くの人の手に。バックパックの“価格設定”の話。』

前回までの記事で、1年に渡って続いたバックパックのサンプル作りが終わりました。
最後はかなり苦労しましたが、自分たちの納得いくモノを作れた自負はあります。手にとって実際に使ってもらったとしても「これは良いバッグだな」と言ってもらえる自信も、ちょっぴりあります。

だけど製品が完成したら最後の大きな仕事が待っています。
それは、製品の価値や売れ行きを決める大切な要素、価格設定です。
dripが当初想定した金額感
どんなにモノとして良い製品であっても価格と品質のバランスが取れていることが大前提。
2,000円で良いバックパック、10,000円で良いバックパックと、100,000円で良いバックパックでは作り方もアプローチの仕方も全く異なります。
だからこそ製品開発を行う前には、おおよその販売価格を想定してから話し合いを始めることがほとんどです。

今回、dripがバックパックを開発するにあたり目標としたのは「販売価格が20,000円〜25,000円」の金額レンジ。
大人が持っていても恥ずかしくなく、学生でも気に入ってもらえば背伸びして手が届きうる価格。
これより1つ上の30,000円〜40,000円の価格帯には名作バッグや人気バッグが多くひしめき合っていることもあり、「20,000円〜25,000円で30,000円〜40,000円レベルのモノを作りたい」という気持ちもありました。

かくして始まったバックパック作り。
実は、ファーストサンプルを作った段階では十分目標価格で収まりそうでした。LEKTさんの素材調達ルートや、熟練の工場職人による技術で仕入れも製作も効率よく勧められたのが大きな要因です。
何度もサンプルをやり直すともちろんその分の費用が掛かります。かなり複雑なバックパックの構造を、1回のサンプル試作で作れたからこそ、目標金額に収められることができていました。
こだわり抜いた結果、原価が高騰…
しかし、デザイン面を決める際にサンプル開発が難航したのは前回の記事(Vol.4)でご紹介した通り。

ナイロン素材を国産のバリスティックナイロンに変更したり、牛革を熟成レザーに変えるといった素材のアップグレード。

↑バックパックサンプル製作の軌跡
さらに大きさや補強財の調整、裏地の張り替え、フロントデザインの検討など、何度もサンプルを繰り返し見た目と使い勝手をブラッシュアップしていきました。
そして、ようやく完成したバックパックと一緒に添えられていた見積書を見て2人は一瞬言葉を失いました。
堀口(drip):え、思ってた以上に原価が高くなっている…
平岡(drip):これは…。もろもろの販売手数料と梱包費用を入れたらほぼ利益なしって感じだね。笑
堀口(drip):少なくとも1年間開発に動いてきた人件費を考えたら真っ赤っかだね…!
こんな感じでなんとか完成したバックパックは想像以上に原価が高くなってしまいました。

例えば、バッグの底面や持ち手に貼った熟成レザーの分量だけで考えてもPRESSoが1つ作れるくらいの革の量があります。価格が上がってしまうのは当然といえば当然。
価格を当初の想定金額で売ればほぼ利益が残らなくなってしまうので、原価の分だけ販売価格を高くするしか手はありません。
もちろんこだわって作った分、販売価格が少し高くなっても納得してもらえる自信はあります。
でも、普段からいろんなモノを見て、動画で紹介している2人だからこそ価格と品質のバランスには厳しい目を持っています。
平岡(drip):例えばこのバッグが26,800円だとしても全然おかしくはないと思うけど、コスパが良くて感動とまではいかないよね。
堀口(drip):学生でdripを応援してくれている人も多いから、ぼくはちょっとでも買いやすい価格がいいな。
こんな感じで高騰してしまった原価に対して、少しでも販売価格を抑える方法を模索していくことにしました。
少しでも安く売るために、、、①発注量を増やす
原価を下げるためにできるまず考えたのが発注量を増やすこと。
ものづくりは生産ロットを増やすことで1つあたりの価格を下げることができます。1度にたくさん作ればそれだけ値段が安くなるのです。
ただ、いくつ売れるかわからない中で、たくさん製品を作るのはもちろん売れ残るリスクもあります。
堀口(drip):ウチ規模の会社だと売れ残りがたくさん発生すると辛いけど、価格を下げるにはたくさん作るしかない…!
当初は多くとも数百個程度の発注を想定していましたが、今回は大きくリスクをとって一気に1,000個発注をかけることに。
これによって多少原価率を安く交渉することができました。
平岡(drip):先払いで1000万円以上のお金が飛んでいくのか…怖いな…
少しでも安く売るために、、、②利益を減らして販売額を安くする

リスクをとって発注数を増やしたといえど、それでもまだ目標価格には収まりません。
色々話し合った末に最後に行き着いたのが利益率を減らすという選択肢。dripの利益を削ることで少しでも販売価格を安くしようというシンプルな作戦です。
堀口(drip):色々試算してみたんだけど、24,800円、22,800円、19,800円の3パターンかな。もちろん安くするほどウチの利益は薄くなるけど
平岡(drip):むしろ19,800円だとクラファンの手数料を引いたらもうほぼ利益が残らないね…笑
最後はやっぱりdripユーザーの声で
22,800円や24,800円でも買うという声も多かったですが、やっぱり圧倒的に多かったのは19,800円という声。
平岡(drip):この聞き方だと必然的に19,800円の票が多くなっちゃうのはあるとして、それでも半数以上は2万円以下を希望しているんだね。
堀口(drip):「3万円以下なら買います」という意見も結構多かったから、24,800円でもそれなりには売れると思う。あとは何を目標にするかっていうところかもね。
たくさんの方からいただいた意見に目を通しながら、待ってくれている人の期待に答えつつ自分たちの理想を実現できる価格設定を再び話し合います。そうして出た結論は…19,800円
誇張抜きでクラファンではほとんど利益は残らない計算ですが、アンケートに回答してくれた人たちの想いに応えたいというのが決め手になりました。そして作りに自信があるからこそ、多くの人に使ってもらい、前回実施したonegerの1,500万円を上回りたい。
そんな気持ちから利益よりも手に取りやすさを重視して、できうる限り価格を抑えました。
堀口(drip):ざっくり計算だけど19,800円なら、支援額が2,000万円くらいでようやく収支でプラスになるくらいかな。
平岡(drip):どうせやるならoneger超えは絶対目指したいし、逆にちょうど良い価格設定だったかもね。
かくして予想以上に悩み難航した価格設定ですが、最終的には19,800円という当初の目標値に収めることができました。
これで本当に準備は全て完了。あとはクラファンに向けて準備を進めるだけです。

バックパックのクラウドファンディングは2021年1月26日からスタートに決定。dripとしても大きくリスクを取ったクラファンになるので、ぜひみなさんのご支援よろしくお願いいたします!